日本消化器外科学会の試算では、今後20年で学会員が半減し、手術までの時間が長くなったり、救急患者の受け入れが難しくなったりする恐れが出てきています。医師の全体数は増えているのに、特に若い消化器外科医が減っています。学会員の高齢化が進み、65歳以下の会員数は、2023年から2043年までに50%減ると学会は試算しています。
なり手不足の主な原因は忙しさです。医師の働き方改革で、2024年4月から勤務医の時間外労働が罰則つきで規制されました。しかし、学会員へのアンケートでは、労働時間が減ったと回答した医師は2割弱にとどまっています。
対象疾患が多いからこそ消化器外科は魅力がありますが、業務量が多いのは事実です。消化器外科医が不足すれば、がんの手術の待機時間が大幅に長くなる恐れもあります。広島大学は4月から若手外科医に月額10万円の手当を創設するとしていますが、こうした取り組みも今後必要になってきます。

(2025年2月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)