厚生労働省は、がんなど命にかかわる重い病気で治療の緊急性が高い患者を対象に、国内で承認されていない新薬を使う場合の自己負担を軽減します。薬代は原則として製薬企業に負担を求める一方、診察費や入院費などには国の保険を適用する混合診療の仕組みを適用します。現行は厳しく制限されている混合診療の運用を一部緩めて、難病に苦しむ患者に欧米で効果が認められた先進的な抗がん剤などを安く投与できるための道を広げようとしています。
現在では、患者が混合診療制度を使うためには、製薬会社が新薬の承認申請のために安全などを確かめる治験といわれる臨床試験に参加するのが一般的です。治験には承認されるまでに日数を要し、経費もかかります。自由診療となれば治療費が高額となります。経済的余裕がない患者には事実上、未承認薬を投与できないのが実情です。新制度で使える未承認薬は日本で治験がすでに始まっていて、これに代わる治療法がないものです。
(2016年1月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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