温暖化による労働機会の喪失

 暑さにより労働機会が失われています。あまりにも暑すぎて、2023年は全世界で5,000億時間超、日本で約22億時間の労働機会が失われたとされています。国際医学誌ランセットなどのグループは、1990年代の平均から49%増え、過去最高を更新したとしています。気候変動は、人類の生き方そのものに影響を及ぼしています。WHOは、途上国ではGDPの7.6%分の労働力を1年で失ったと分析しています。

 暑さによる影響が最も大きいのは農業従事者で、失われた労働量は全体の約6割にあたる3,230億時間分に及んでいます。農業と同様に屋外の肉体労働が不可欠な建設業が2位につけ、964億時間分を失っています。屋外でなくとも、暑さの影響は避けられません。551億時間分の労働が奪われたのがサービス業で、代表例は外食産業です。

 温暖化による暑さが影響を与える範囲は、屋内と屋外を問わない状況になっています。暑さにより、日本全体で潜在的に得られる約375億ドル(約5.8兆円)分の収入を喪失しています。世界全体で暑さにより失われる収入は、2023年の1年間で約8,350億ドル(約128兆円)に及ぶとされています。途上国ではGDPの約7.6%、先進国では最大約1%の損失が出ているとされています。

(2024年12月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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