災害時小児周産期リエゾンとは、災害時に被災地の支援活動において重要な役割を果たす職務です。東日本大震災での支援活動の経験から、災害弱者である小児周産期領域の医療支援に関するニーズの把握が、不十分であることが指摘され、災害時に小児周産期領域の情報収集や、医療調整、保健活動に関するコーディネーター機能をもつリエゾンが設置されました。2016年に起きた熊本地震において、災害対策本部内に小児周産期リエゾンとしての支援活動がはじめて行われました。
支援内容は次の3つに分類されます。第1は、情報収集と発信です。被災地内の医療機関の被害状況や、搬送を必要とする患者情報を収集し、患者搬送の調整を行います。第2は、医療支援の調整です。医師派遣においては、派遣先の病院や派遣医師の人数そして業務内容を決めておく必要があります。第3は保健活動です。災害時にも保健活動の継続が必要であり、保健師、新生児科医師、産婦人科医師が医療チームを結成し、避難所を訪問し、妊産婦や乳幼児の評価を行います。今後は、災害時の医療支援のキーパーソンとなる災害時小児周産期リエゾンに、被災状況や患者の搬送、不足する医療物資などに関する正しい情報を、効率よく伝えるためのネットワークが必要であると思われます。
(月刊母子保健 第719号2019.3.1)
(吉村 やすのり)