無痛分娩を希望する妊婦は増加傾向にあります。日本産婦人医会によれば、2023年に会員施設で無痛分娩した産婦は9万9,235人にのぼります。東京都が2024年に出産経験者約1万人に対して行った調査では、約6割が無痛分娩を希望していました。
ネックとなっていたのが費用負担の大きさです。厚生労働省や都によれば、正常分娩の平均出産費用は2023年度、都内で62万5,372円にのぼっています。国の出産育児一時金の50万円を超えるうえ、無痛分娩にかかる費用の都内の平均額は12万3,633円にのぼります。その分、追加費用となって自己負担が重くのしかかっています。
都の調査でも、無痛分娩を希望しながらも結果的に選ばなかった人に複数回答可で理由を聞いたところ、約3割が費用の高さを選んでいます。費用のハードルを越え、希望にそえる形で出産を迎えられるよう、都は無痛分娩にかかる費用について最大10万円を都内の妊婦に助成することを決定しました。都は、助成を始める2025年10月から半年間で9,500件ほどの利用を想定しています。
都は助成対象について、安全管理対策や人員管理体制など、厚生労働省が定める自主点検表の項目を満たし、都に届けた病院や診療所での出産に限定しています。費用の助成に加え、医療従事者向けの研修などを通じて、安心して無痛分娩を受けられる体制整備にも取り組むとアピールしています。

(2025年4月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)