暑さが厳しくなり、熱中症で病院に運ばれる人も増えてきています。熱中症とは、運動や暑熱によっておこる体の障害の総称です。熱射病や日射病と呼ばれるのは、重症の熱中症のことです。熱射病は、医学的には視床下部の体温中枢の機能が低下し、汗が止まり、体温が40℃を超えてしまうことをいいます。そして、太陽光にあたったことが原因の場合は日射病といいます。
熱中症は気温や湿度の高い環境で、体温調節がうまくいかなくなることで起こります。体は汗をかいたり、皮膚近くに血流を集めて冷やしたりして、体温上昇を防いでいます。ところが暑い環境や激しい運動によって大量の汗をかき、水分や塩分が不足すると、内臓や脳をめぐる血流も減り、めまいや立ちくらみなど熱中症の症状が現れます。そのまま高温多湿の環境に居続けると、症状が進み、頭痛や嘔吐、倦怠感などが出て来ます。さらに進むと、汗をかけないことや血流の低下で、熱を体外に発散できなくなります。それにより、内臓がダメ-ジを受け、体温が40℃を超すと細胞が壊れ始めてもとに戻らなくなります。さらにひどくなると、意識を失ったり、多臓器不全になったりして、死亡してしまうことがあります。
(2015年7月15日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)