厚生労働省は2004年から、体外受精や顕微授精といった特定不妊治療の治療費を助成しています。ニ-ズを反映し利用が右肩上がりで増えた結果、財政負担も膨らんでいます。国は、体外受精などに1回最大15万円を補助しています。2013年度は前年度比10%増の14万8659件と、10年で8倍超に膨らんでいます。
一般に年齢を重ねると成功率が下がるため、2016年度からは新たに年齢制限を導入しました。治療開始時に妻の年齢が42歳までのカップルに助成を限ることにしています。フランスやドイツ、韓国など年齢制 限を設ける国がほとんどです。不妊女性を支援するNPO法人Fineの調査では、不妊治療には多大な費用がかかり、若いカップルにとっては大きな負担となっています。経済的不安の軽減は助かるといった声が寄せられた一方、仕事の調整に苦労する、上司から退職勧奨を受けたなど、治療と仕事の両立に悩む人も少なくありません。
(2015年7月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)