献体とは、自分の体を解剖実習用として大学の医学部や歯学部に死後に無償で提供することを言います。最近、献体を希望する人が増えています。献体の実行数は、2015年3月末時点で12万954人であり、10年前から59%増えています。実習に必要な分の約98%を献体で確保できており、身元不明の遺体を回してもらった時代からは隔世の感があります。希望者が増えたのは、高齢化が進む中、献体の認知度が上がり、医学の進歩に貢献したい、死後も役に立ちたいという人が増えたことによります。
遺体保管場所の確保難や遺骨返還までの期間が延びるのを懸念し、大学が献体登録の受け付けを停止したり制限したりする動きも広がっています。遺体引き取りから火葬までの費用は各大学の負担で、1人平均約40万円がかかります。核家族化などを背景に、葬儀の負担減を見込む希望者も近年はみられるようになってきています。やっとの思いで家族を説得して登録したような、古くからの会員と意識の差には大きいものがあります。希望者の急増で、献体登録の制限をする大学も増えてきています。
(2016年3月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
献体とは
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