献血者数は、2023年度に252万人と10年前から約50万人減少しました。カバーしているのは中高年のリピーターです。年2回以上協力した人が、60代は52.1%、50代も48.3%に上っています。延べでみると60代が10年前の1.9倍、50代が1.6倍になったおかげで、全体の献血量は10年前より15%増えています。
一方、10代の献血者数は10年前より1割、20~40代は3~4割減っています。少子化により若年人口が減ったほか、テレワークの広がりで企業などを会場とする献血が減少しました。日赤によれば、移動車での会社員の献血は2023年度に114万人と、新型コロナウイルス禍の前の2019年度より2.8%減っています。

提供される血液の用途は大きく2通りあります。手術などで使う輸血用の血液製剤と、血液成分から特定のたんぱく質を抽出・精製して造る血漿分画製剤です。分画製剤の一つである免疫グロブリン製剤も、原料である血漿の必要量は10年で約1.3倍に増えています。国内供給でまかなえない分は輸入に頼らざるを得ず、国内自給率は年々低下しています。以前は95%を超えていた自給率が、2025年度は7割を切る見込みです。
延べ献血者数の15%を占める60代は、数年以内に上限の69歳を過ぎてしまいます。血液製剤の需要は強く、幅広い年代の協力がなければ供給不足に陥りかねません。このままでは中長期的に血液の需給が逼迫しかねず、できるだけ多くの人に参加意識を持つことが大切です。
(2025年5月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)