理工系女子学生を増やすための取り組み

日本は欧米に比べて、理工系分野、産業分野における男女のバランスがあまりにも悪く、女子学生比率は著しく低くなっています。東京工業大学が、2025年度入学者を選抜する入試までに学校推薦型と総合型選抜で、計143人という異例の規模で女子枠を創設します。政府は男性に偏っている理工系人材に女性を増やそうと、大学に女子枠導入を促しています。
海外の有力研究大学は、女子学生比率が高くなっています。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の女子学生比率は48%です。2021年秋入学者選考では、志願者数は男子約2万人、女子約1万人で2倍の開きがありましたが、合格者は男子665人、女子700人でした。MITでは、SATなど共通テスト成績は指標の一つでしかなく、高校の成績や課外活動、小論文、面接などで総合評価して選抜しています。

米国の大学は、世界中から多様で選りすぐりの人材を集めて科学技術の革新を生み、国が繁栄してきました。そのため、性別や人種、能力などの多様性を重視し、学生が同じタイプや属性に偏ることを避けています。理工系が男性に偏る日本の大学の現状が続けば、国際的に激化する研究開発や人材獲得の競争から取り残されてしまいます。

(2022年11月23日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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