令和以降に大学や大学院を出て社会人になった女性に対する日経新聞社の調査によれば、出産希望者は第1子の理想の産み時を平均27.7歳と回答しています。しかし半数超が、入社前に比べ第1子の出産理想年齢は遅くなったと答えています。
将来的に子どもが欲しいかとの問いに、ほしいと回答したのは68.7%、ほしいと思わないが7.9%、どちらとも言えないは23.4%でした。出産のタイミングについて聞くと、子どもを産むのであればなるべく早く産みたいとの回答が96.1%にのぼっています。理由としては、若い方が子育てしやすいが最多の68.5%、高齢になると妊娠や出産が身体的に厳しいが57.3%、2、3人目の子どもがほしいが42.1%と続いています。
厚生労働省が発表した2021年の人口動態統計によれば、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.30と、6年連続で低下しています。第1子出生時の母親の平均年齢は6年ぶりに上昇し、過去最高の30.9歳でした。今回の調査では、7割近い若手女性社員らは積極的に子どもを持ちたいという意欲を持ち、その大半ができるだけ早いタイミングでの出産を希望しています。
687人に、第1子の理想出産年齢を尋ねたところ、回答は22~33歳とばらつきがあったものの、平均で27.7歳でした。しかし、学生時代など入社前に比べ、出産理想年齢が遅くなったと答えた人が52.4%と半数を占めています。理由としては、経済的な不安、パートナーや家族などからの言葉、仕事のやりがい、長時間労働などがあがっています。
若い女性の不安は、出産後の子育てに向いています。賃金が上がらず、長時間労働も解消されず、子育て支援も脆弱なままでコロナ禍による不安も増しています。少子化が進む中でも、子どもを産み育てることへの願望は根強いものがあります。国が子育て支援を積極的に進め、若い世代の不安を解消して、産みたい人が望む年齢に第1子を産むことができれば、日本の低出生率が改善する可能性は残されています。
(2022年8月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)