文部科学省は、デジタルや脱炭素など成長分野の人材育成に向け、3,000億円の基金を設け大学の学部再編を促します。少子化が進行するなか、教育の質の低い大学の延命ではなく、高度人材の輩出に結びつける実効性を伴う制度設計が求められています。
基金は、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に設け、2023年度にも募集を始めます。対象は、理工農学系学部への転換・拡充を計画する公私立大学、デジタル分野を拡充する国公私立大学・大学院と高等専門学校などです。支援額は、1校あたり最大20億~30億円規模を想定しています。
基金創設の背景には、理工系分野の教育体制の弱さがあります。文部科学省の調査によると、日本の大学を出た人のうち自然科学分野の学部出身者は35%で、英国の45%や米国の38%を下回っています。国内では、AIやデジタル、脱炭素技術などの成長分野での人材不足が目立っています。
(2022年11月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)