生殖医療を考える―XIII

臨床医学会のあり方―①

 生殖医療の従事者は不妊患者の直接的な対話者であることから、結果的にその代弁者となり、卵子提供や代理懐胎の実施を強く主張することになる。しかし、これらの行為には必ず第三者や生まれてくる子が存在することを常に考慮すべきである。生まれてくる子の法的地位が不安定にならないためにも、最低限の親子関係の法の整備が臨床応用の前提条件として必要となる。これらは通常の医療ではありえないことであり、クライエント夫婦と医師の間で相互の同意が得られれば実施しても構わないという考え方が成立しないのが生殖医療であることを肝に銘ずるべきである。学会での医学的適応に関するガイドラインの作製は、立法府の是非の判断、法的諸問題の検討の後に行われるべきものであり、専決事項ではないと考えられる。
(吉村 やすのり)

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