歴史的な物価高が世界を覆っています。日米欧30カ国の4月の生活費は、1年前と比べ9.5%上がっています。上昇ペースは、新型コロナウイルス禍前の7倍に達しています。ウクライナ危機に中国のゼロコロナ政策が加わり、資源高と供給制約が連鎖してコストを押し上げています。ヒト・モノ・カネの自由な動きが支えてきた低インフレの時代が変わりつつあります。
上昇ペースは、コロナ前の2019年まで5年間の平均1.3%の7倍で、物価全体の7.6%を上回っています。生活に欠かせないモノやサービスほど値上がりしているためです。上昇率は、エネルギー高が襲う欧州で12.4%に達しています。日本も4.4%と、ようやく2%に届いた全体のインフレ率を上回っています。
(2022年6月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)