厚生労働省が公表した2021年の人口動態統計によれば、婚姻件数は戦後最少の約50万件でした。ピークは団塊世代(1947~1949年生まれ)が25歳前後となった1972年ですが、現在はその半分以下の水準です。かつては男女とも9割超が、一度は結婚を経験していました。
国立社会保障・人口問題研究所によれば、50歳までに一度も結婚しない人の割合を表した生涯未婚率は、1980年には男性が2.6%、女性が4.5%でした。しかし、2020年には男性がほぼ4人に1人の25.7%、女性が16.4%にまで上昇しています。仕事でのキャリアアップなど、結婚よりも自分の時間を大切にしたいといった価値観が広まっています。
直近の婚姻数の動向は長期にわたる減少傾向に、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけています。結婚式の延期や中止、結婚自体を取りやめる人が相次いでいます。外出や会食の自粛で、結婚につながる出会いや交際の機会が失われた影響は、しばらく続くと思われます。わが国では、結婚と妊娠・出産の結びつきが強く、婚姻件数の減少は将来を担う子どもの出生減に直結します。
日本リレーションシップ協会の調査によれば、未婚女性が結婚相手に求める条件は、経済力がトップです。未婚者の理想の年収は、600万円以上800万円未満が28.6%、400万以上600万円未満が20.3%の順です。一方、男性の2020年の平均年収は532万円です。25~29歳が393万円、30~34歳が458万円で、理想と現実のギャップは大きくなっています。
若者の9割近くに、いつかは結婚したいとの気持ちがあります。しかし、生活費や住まいの問題、仕事と子育ての両立を巡る不安など、様々な要因が結婚に二の足を踏ませています。こうした阻害要因を減らし、結婚したい若者たちを後押しする施策が求められています。
(2022年6月11日 読売新聞)
(吉村 やすのり)