生涯未婚率の増加

 全国の生涯未婚率(50歳時未婚率)は男女ともに上昇しています。2020年国勢調査によると男28%・女18%です。男余りが著しい県では、男女間のマッチングに齟齬をきたす例が増えており、男性の未婚率はより高くなりがちです。昨年の日本人出生数は戦後最少の68万人台に落ち込み、女性1人が生涯に産む子ども数の理論値である合計特殊出生率は1.1台前半へ下がったと推計されています。

 20~34歳未婚者の男女比は、福島、茨城、富山、栃木、福井、静岡、山形7県で30%以上の男余りになっています。20~30%は秋田、青森、群馬など16県もあり、東高西低が読み取れます。最高は東日本大震災による大津波と原発事故のダメージを受けた福島県で、能登地震被害の復興が思うに任せぬ石川県も急伸しています。県単位でみた極端な不均衡は、日本国と日本人の未来に重大な支障をもたらすことになります。

 1980年代から1990年代初めにかけての東京圏への転入超過数は、男性のほうが多数でした。その後は男女ほぼ同数が続いていましたが、2010年頃を境に女性が上回るようになってきています。その傾向はコロナ禍を経てより鮮明になっています。その結果、逆・木綿のハンカチーフとも呼ぶべき現象が起きています。

 石破政権は、東京一極集中是正に向けて令和の日本列島改造を打ち出しています。①新設する防災庁など政府機関の地方移転、②男女間の賃金格差とアンコンシャス・バイアスの解消、③都市と地方を人が行き来する二拠点活動の支援です。地方創生2.0の延長線上にあるのが、若者と女性に選ばれる地方を目指す令和の日本列島改造です。

(2025年1月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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