様々な情報に触れやすい都市部の大学進学者を中心に、地元での就職意欲は下がってきています。就職情報サイトマイナビの調査によれば、地元就職を希望する学生の割合は、年々低下傾向にあります。2021年卒は前年比1.1ポイント低い48.7%であり、9年前に比べて14.6ポイント下がっています。東京に本社が集中しており、地方だとめぼしい企業がない、地元は就職の選択肢が少なすぎるなどが原因です。
東京はそうした若者が働く受け皿になっています。総務省によれば、2019年の生産年齢人口(15~64歳、日本人)の東京への転入超過数は9.6万人で、2010年以降増加傾向が続いています。2020年1月時点の都内の生産年齢人口は860万人で、全国の11.8%を占めており、20年前から1.9ポイント上がっています。
しかし、今回のコロナ禍により変化が見られています。移動自粛や感染者が多い東京を避ける動きの広がりで、生産年齢人口の転入超過数は、4月が前年同月比45%減、5月は86%減になっています。新型コロナを機に在宅勤務が強化され、リモートで働きながら地方に住み続ける動きが長期的に拡大していく可能性が考えられます。全体の人口減少もあって生産年齢人口がいずれ減る中、東京の経済も変革が必要になってきます。
(2020年7月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)