産科医療補償制度の現状―Ⅳ

紛争・訴訟の減少
近年の産婦人科の訴訟件数の推移は減少傾向にあります。産科医療補償制度開始後にはその傾向は顕著であり、10年前に比べて3分の1になっています。本制度の補償対象事例において、本制度とは別に損害賠償請求等がされたのは、補償が決定した2,233件のうち97件(4.3%)にすぎません。このうち訴訟提起事案は51件でした。また、報告書送付後に損害賠償請求をされたのも2.1%しかなく、本制度によって、多くの脳性麻痺事例で紛争が回避されたことが示唆されます。
本制度が開始される前に、平成18年度以降減少しているのは福島県立大野病院問題の裁判結果が関係しています。産婦人科医が刑事訴追を受けたことにより、無過失補償の考え方を取り入れた本制度が提起されました。

(2018年5月1日 日本産婦人科医会報)
(吉村 やすのり)

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