日本の男女の賃金格差は、欧米に比べ格差が大きく、1年間で女性は男性の74%しか稼げていません。管理職や高収入の専門職に女性が少ないことが主因となっています。2020年にフルタイムで働いた日本の労働者の所定内給与は、男性が33万8,800円だったのに対し、女性は25万1,800円にとどまっています。
男性の1年分の収入を得るために女性がどれだけ追加で働く必要があるかを示す指標であるイコール・ペイ・デイを計算すると、フルタイムで1月1日から働き始めた場合、男性の12月末の賃金に追いつくために、日本の女性はさらに112日働かなければなりません。格差が小さいノルウェーは17日です。
女性の就業率は7割に達したものの、不安定で低賃金になりがちな非正規の比率が54%であり、男性の22%に比べ高く、格差を一段と広げています。男女の賃金格差が大きい国ほど、労働生産性も低くなっています。女性が能力開発できず、格差が生じる環境を放置することが、経済成長を損ねる恐れが出てきます。
(2022年3月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)