男女平等が生む活力

日本は、2021年のジェンダーギャップ指数が156カ国中120位と先進国で最下位です。賃金格差は22.5%に及び、OECDの平均である12.5%より大きくなっています。児童手当や保育サービスなど家族関係の公的支出も見劣りしています。女性活躍を掲げながら、2017年のGDP比は1.6%と、OECD平均の2.1%より低くなっています。
時間あたりの労働生産性とジェンダーギャップ指数を交差させると、日本は韓国とともに低さが際立っています。女性が能力を発揮できる環境が整っておらず、非正規雇用が5割以上と高いこともあってなかなか上がりません。北欧のように女性の視点をビジネスの現場に取り入れなければ、生産性の向上は望めず再浮上できません。特に創造性の高い研究開発分野での活躍が見込まれます。
企業の時価総額や論文の引用数などから算出した特許資産の経済効果は、男女混合チームの方が男性だけの場合と比べ1.54倍に上っています。女性が加わることで多様性が高まり、発想力が豊かになります。男性も刺激を受けてより成果を出そうとします。男女平等を成長の原動力にする国が目立つ中、日本は女性を生かす社会を描けていません。賃金格差、子育て、積極的な登用などの課題に本気で向き合わなければ、成長へのきっかけはつかめません。

 

(2022年1月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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