男性の育休取得がもたらす効果

育児休業法は、1991年に公布されました。1990年代後半には官民様々な調査が実施され、男性も育児休業を取得すべきという声が示され始めました。しかし、男性における育児休業取得者の割合は、2005年度までは1%を下回ったままでした。内閣府で、仕事と生活の調和推進のための行動指針が策定され、その中で男性の育児休業取得率を2020年には13%にすることと、6歳未満の子どもをもつ夫の育児・家事関連時間を同じく60分/日から150分/日にすることが掲げられました。
2018年度頃を境に、男性の育児休業取得率は顕著に増加し始め、2022年度には17%に達し、大企業では男性の育児休業の取得がより広まってきています。女性と比べるとまだ大きな差があるものの、男性の育児休業の取得期間も全体的にやや長くなってきています。男性の育児休業取得率が増加した一番大きな要因は、2020年からの新型コロナウイルス感染症による影響が考えられます。
男性の育児休業取得促進は、社会的な要請・ニーズがあるうえで、男性の家庭と仕事の両立の希望を叶えやすくなることや、男性の家事・育児時間が増えることによって、女性の就業継続率の増加、第二子以降の出生割合の増加などにつながることが期待されています。男性の育児休業取得は、男性が家事・育児をする必要性に気づいたり、そのやり方を習得したりするのに適した時間と機会を生み出します。
父親は母子を支援する最も身近な存在として注目されています。夫婦で協力しながら、子育て期を乗り越えていくような家族のありようが求められています。そのために、男性を家事・育児に巻き込み、より関わるように促していく社会的な流れは今後も進んでいくものと思われます。もし、父親も母親同様に家事・育児を担うことが当たり前の社会を作っていくならば、家事・育児にも取り組む父親を支援する体制の構築も不可欠となります。

(令和6年1月1日 月刊母子保健)
(吉村 やすのり)

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