男性不妊の原因は、精子の量や運動率が十分でない造精機能障害のほか、静脈が精巣に向かって逆流して徐々に精巣機能を弱める精索静脈瘤などがあります。WHOの2017年の報告によれば、不妊カップルのうち男性に原因があるのは24%、男女両方にあるのは24%で、合計すると約半分で男性に原因があるとされています。
男性不妊の集団では、加齢によって精子機能が低下していると考えられています。加齢に伴いDNAに傷がついている精子が増えるため、自然妊娠や人工授精での妊娠がしにくくなる可能性があります。そのため、男性の年齢が高いほど、女性が妊娠するまでの期間が長くなる傾向にあります。男性が20代の場合は約6カ月なのに対し、30代だと約10カ月程度かかります。不妊の主たる原因は女性と考えているカップルが多いのですが、男性側の原因も多くみられます。男性が生殖能力を知る機会は女性より少ないのですが、男性不妊に目を向けるのも大切です。早い時期から男女で一緒に取り組むことが時間や費用、心身にかかる負担の軽減につながります。
(2020年1月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)