国際機関の調査によれば、世界の留学生総数は2024年に690万人で、約20年で4倍に増加しています。質の高い大学教育への需要が高まっています。各国が留学生の獲得に力を入れる中、優位に立つためには、資金力を生かして優秀な留学生から選ばれる大学に成長する必要があります。文部科学省は留学生の受け入れを加速するため、定員規制についても2026年春から緩和する方針です。
東北大学は、留学生の授業料を2027年度から1.7倍に引き上げると発表しています。増収分は留学生への支援強化に充てるとしています。欧米では、受益者負担の考え方に基づいて自国の学生の2~3倍に設定する大学が珍しくありません。授業料は学生が留学先を選ぶ際の大きな判断材料となります。7割の値上げをしても留学生を増やせると判断した背景には、国際的な留学市場の拡大があります。
東北大学によれば、増収分は生活や学業、就職への支援強化などに充てるとしています。優秀な留学生を対象にした奨学金も新設します。学びやすい環境を整えることで、2024年時点で2%の学部の留学生比率を、10年後に9%、25年後に20%までに引き上げるとしています。東北大学は、2024年に政府が創設した10兆円規模の大学ファンドから支援を受ける国際卓越研究大学の第1号に認定されました。巨額の支援を活用して学内の国際化を進め、留学生にとっての魅力を高める考えです。
(2025年12月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







