病児保育とは、病気になった子どもを一時的に預かるサービスで、保育と看護の両方の機能を併せ持っています。風邪で熱が出たり、湿疹を発症したりして一般の保育所では預かってもらえない子どもを預かることができます。市町村などの自治体の委託を受けて、NPO法人や社会福祉法人が運営しており、1日あたりの利用料は施設により異なっていますが、大体2,000円~2,500円です。政府は、2020年度までに病児保育の利用児童数を150万人とする目標を掲げていますが、今の利用率は4割弱にとどまっています。病児保育施設の不足が理由であり、受け皿の拡大は急務となっています。その新しい対策では、まず看護師や保育士の配置にかかわる規制を緩めます。
利用する子どもがいない時まで看護師や保育士が常駐しなければならないと、人件費の負担が重くなります。現在は子どもがいない時のルールは明確ではありませんが、看護師や保育士を常駐させなくてよいとする規定を新たにつくります。さらに病院などに併設されている病児保育の場合は、看護師がすぐに駆けつけられる体制を取っていれば、子どもを預かっていても看護師の常駐は不要となります。厚生労働省は、施設の増設に向けた補助金も拡充します。また病児保育では、一般の保育所で体調を崩した子どもが移ってくることも少なくありません。病児保育側が子どもを迎えに行った場合は、交通費や付き添いをする看護師の人件費も新たに支援します。
病児保育の充実は、子育てをしている若い夫婦にとって極めて大切です。待機児童の解消も必要ですが、保育の質を上げるためにも病児保育の受け皿を広げなければなりません。
(2016年1月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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