病児保育の実態

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によれば、保護者2,000人のうち、子の病気で対応に困ったことがあると答えた割合は47%に上っています。一方、病児保育の利用経験があるとの回答は13%にとどまっています。背景には手続きの煩雑さや予約の取りづらさがあります。利用を希望する当日の朝までに施設に空き状況を確認し、医師の診察も済ませなければなりません。感染症の流行期は受け入れを断られる例が多くなっています。

 病児保育は、1960年代に民間施設で始まりました。共働きの増加や核家族化が進み、1995年度に始まったエンゼルプランに重点施策として盛り込まれました。国や自治体の補助対象の施設は2023年度で約4,300カ所で、過半は保育所などで体調の悪化した子を親の迎えまで預かる施設です。翌日なども症状が続く子を預かる施設は3割にとどまっています。施設数の地域差も大きく、一定基準の病児保育施設がない自治体は4割に上っています。

 56%の施設が赤字です。当日のキャンセル率は大半の施設で約5割と高く、事業者の持ち出しで何とか成り立っています。行政の補助金は、定員でなく利用実績に応じ加算され、利用者が少なくても職員は必要なため、人件費が膨らむことになります。

 施設に子を預ける病児保育は日本特有のものです。欧州は、保護者が家で看病すべきだとの考え方が強く、各国は有給の看護休暇を整備し、子育てと仕事の両立を支援しています。日本は、2002年施行の改正育児・介護休業法で子の看護休暇を創設しました。しかし、取得経験を持つのは約14%にとどまっています。専門家は病児保育の施設を増やすより、親が休むことを基本とした方が社会の負担が少なく、子や親の利益にもかなうとされています。

(2026年3月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です