OECDの2021年に発表した調査によれば、物価水準を考慮した購買力平価でみた日本の病院勤務の看護師の収入は、対象34カ国の平均より低くなっています。厚生労働省の賃金構造基本統計調査においても、看護師の平均月給は30~34歳以降で大卒者の平均を下回っています。
近年、日本の看護師の海外移住の流れが静かに増えています。海外においては医師との上下関係がなく、お互いの専門性を尊重して働くことができ、労働環境も恵まれています。賃金や労働環境、社会の多様性・寛容性などの面で、日本よりも欧米諸国に魅力を感じる人が多くなっており、ますます海外流出が進むかもしれません。
(2023年1月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)