発達障害は、先天的な脳機能の障害により発症します。発達障害者支援法によれば、自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害などと定義されています。幼少期の早期発見と支援が重要とされますが、外見での判断が難しい症状もあり、診断が難しくなっています。文部科学省の2012年調査によれば、公立小中学校の通常学級に在籍する児童・生徒の6.5%に発達障害の可能性があり、約60万人に推計されています。
国や自治体、民間団体が相次いで資格制度を創設し、発達障害の専門知識を詳しく学ぶ機会を用意しています。厚生労働省は昨春から、地域で開業する小児科医向けの研修を始めています。発達障害に特有の言動などの見分け方を伝え、必要に応じて専門医に橋渡しするよう促しています。感覚過敏やコミュニケーションが苦手といった、発達障害児の特徴を踏まえた診察時や治療上の注意点も教えます。
(2017年6月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)