日本百貨店協会の発表によれば、2020年の全国百貨店売上高が4兆2,204億円で、既存店ベースで前年比25.7%減少でした。1975年以来、45年ぶりの低水準です。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休業の実施や訪日客の減少が影響を与えています。
売上高は、ピークの1991年の9兆7,130億円と比べて半分以下となりました。この1年間で1兆5,000億円以上落ち込み、減少率は比較可能な1965年以来で最大でした。地方を中心に店舗の閉鎖が相次ぎ、全国の店舗は12店減り、過去最大の下げ幅となっています。
2019年10月の消費税率引き上げと暖冬で苦戦していたところに、コロナ禍が直撃しました。政府の1回目の緊急事態宣言の発令を受け、2020年4月と5月は前年同月より6~7割減りました。その後は持ち直したものの、12月も13.7%減とマイナスが続きました。商品別では、売り上げの3割弱を占める衣料品が31.1%減と落ち込みが大きくなっています。化粧品や宝飾品などの雑貨も31.0%減です。巣ごもり需要を一部取り込んだ食料品は、15.9%減です。
緊急事態宣言の再発令で、来店客は再び減少しています。ネット通販の台頭もあり、百貨店の閉店や売り場縮小は今後も続くと思われます。買い物ができるだけでなく、百貨店は地方においては、特に街全体のにぎわいを創出することが必要です。
(2021年1月23日 読売新聞)
(吉村 やすのり)