目の異常と認知症

網膜は、受精卵から様々な組織ができる過程で、脳の一部から発生します。いわば目は脳の一部です。目が見えづらい状態は1.8倍、失明だと3.6倍、認知症になるリスクが高くなるとされています。眼鏡やコンタクトレンズを付けず、目でしっかり見ない生活をしていると、認知症のリスクが高くなります。
白内障で視力が低下したままだと、やはり認知症になりやすくなります。眼鏡やコンタクトレンズで視力矯正をしたり、手術を受けて視力を保ったりすることは、認知機能の維持に有益です。目から脳の病気の早期診断ができる可能性もあります。脳と同じように、アルツハイマー病患者の脳に蓄積するアミロイドβという物質が、網膜にも沈着することが観察されています。研究が進み、認知症やアルツハイマー病の検診として、目を見ることも大切かもしれません。

(2019年3月2日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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