最高裁の調査によれば、相続人不在によって国庫に帰属した財産収入は、2023年度に1,015億5,027万円でした。2022年度の768億9,444万円から32%も増えています。記録が残る2013根度は約336億円でした。財務省によると、国庫帰属分の遺産の使途は明確に決まっておらず、何らかの歳出に充てられるとされています。
相続人が存在せず遺言もない場合、国や自治体のほか利害関係者が相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立て整理を任せます。未払いの公共料金や税金などの債務を清算した残りが国庫に入ります。相続財産管理人の選任申し立ても2019年以降、毎年増えています。
相続人なき遺産が近年増えている大きな要因が単身高齢者の増加です。厚生労働省の2023年の国民生活基礎調査によれば、65歳以上の3,952万7,000人のうち単独世帯は21.6%(855万3,000人)でした。10年前の17.7%から増加傾向となっています。2050年には、高齢者の単独世帯で未婚者の割合も男性が6割、女性が3割になる見通しで、さらに増加すると思われます。
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(2025年2月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)