日本看護協会によれば、都内の病院で働く正規雇用の看護職員の離職率は2023年に15.5%でした。全国平均を3.7ポイント上回り、47都道府県で最も高くなっています。美容医療などへ人材が流出しています。
都の看護師の採用コストも高くなっています。都病院協会の調査によれば、人材紹介会社への紹介手数料は、都内病院の中央値が100万円です。福祉医療機構が調査した全国平均より10万円高くなっています。医師や看護師の紹介手数料は、医業収益の2%を占めています。採用コストの高騰や人件費上昇は、都内の病院経営を圧迫しています。
看護師の流出により、看護師不足の病院は増加しています。福利厚生の充実は人材確保に欠かせません。東京都は2025年度から、都内の病院が看護師の寮を借り上げる費用を最大75%補助します。病院経営は物価高騰や人件費の上昇で厳しさを増し、看護師の確保が難しくなっています。家賃の低さや職場への通勤のしやすさなどをアピールし、人材不足の解消に役立てます。

(2025年3月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)