着床前検査が先進医療に

体外受精で得た受精卵(胚)を子宮に移植する前に染色体異常を調べる着床前検査が、先進医療Bとして認可されました。先進医療は、将来の保険適用も視野に、高度な医療を保険診療と組み合わせ、施設基準を満たした病院などで受けられる仕組みです。先進医療として、胚の細胞を染色体数に異常がないかを調べるPGT-Aなどの検査をします。



着床前検査を先進医療として受ければ、1つの胚あたり10万円前後の検査費のみ自費となります。体外受精部分は保険が適用されるため、すべて自己負担する場合の数分の1の費用で済みます。東京都には先進医療費用の助成制度もあります。しかし日本産科婦人科学会の臨床研究では、検査数に対する妊娠率は約3割で、検査なしの場合とほぼ同等です。検査なしに比べ子宮移植あたりの妊娠率は上がり、妊娠あたりの流産率は下がります。

現在のPGT-Aは、検査後移植できる胚が得られた場合の妊娠率は高いのですが、検査で正常胚が見つからないことも多く、検査を始めたカップルの4割しか胚移植できません。しかし、流産が予防できる点は長所です。

(2023年10月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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