理化学研究所などのグループが、寝ている時に夢を見ないマウスを遺伝子操作でつくることに成功しました。Chrm1とChrm3という2つの遺伝子が、睡眠との関係が深いことを発見しています。片方を持たないマウスでは、1日の睡眠時間が通常より82~118分短かったとしています。人間にもある睡眠との関係が深い遺伝子を特定したことで、睡眠障害などの治療薬開発につながる可能性があります。
睡眠には、体も脳も休んでいるノンレム睡眠と、体は寝ているが脳は起きているレム睡眠の2つがあります。レム睡眠のときには夢を見たり、記憶が固定されたりすることが知られています。脳波などで詳しく調べると、両方ないマウスでは、通常のマウスだと72分あったレム睡眠の時間がほぼゼロでした。Chrm1のないマウスは、レム睡眠とノンレム睡眠の両方が減り、Chrm3のないマウスはノンレム睡眠だけが減少していました。2つの遺伝子は人間にもあるとされています。
(2018年8月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)