睡眠負債とは

睡眠負債とは、毎日のわずかな睡眠不足が負債のように蓄積された状態をいいます。眠気などの症状に乏しいことが多く、自覚が難しい潜在的な睡眠不足です。5年、10年と長期にわたってその状態が続けば、糖尿病や高血圧、うつ病などのリスクが高まります。睡眠負債の有無を知るための自己チェックとしては、部屋に遮光カーテンを引き、アラーム類はオフにします。家族には声をかけないように頼んでおきます。朝はいつもの時間に目覚めることが多いのですが、そのまま二度寝してみましょう。普段より3時間以上長く眠ったなら、睡眠負債があると考えてよいと思われます。睡眠負債の解消には、夜の睡眠時間を少しでも長くすることが必要です。
睡眠負債は一括返済ができません。就寝前の1時間はクールダウンを意識し、スマホやパソコンなどの強い光を見るのは避けます。就寝30分前に入浴すると体が温まり、体温が下がる過程で眠りにつきやすくなります。昼間の眠気解消を目的として、職場の机の上などで15分程度の短めの仮眠をとることも有効です。本来必要とされる時間の睡眠をとると、糖尿病の指標や血圧、細胞代謝、ストレスの度合いなどの検査データが改善することも分かっています。

(2018年3月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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