研究開発力を比較する際の代表的な指標は、研究論文の数です。文部科学省の2018年版の科学技術白書によれば、2013~2015年の国別の論文数のシェアで米国は19.9%、中国はそれに次ぐ16.0%となっています。研究開発の分野でも米中の存在感は突出して大きく、3位のドイツの4.7%を大きく引き離しています。引用数がトップ10%に入る質の高い論文の数も両国が他を圧倒しています。
日本の存在感は低下傾向にあります。2003~2005年の時点で、米国に次ぐ2位につけていた論文数は、4位へと順位を下げています。近年、日本は自然科学分野でノーベル賞受賞者を多く輩出してきましたが、こうした優れた成果は数十年間にあげたものである例が多く、近年は研究開発力の低下が危惧されています。背景には、研究開発費の伸び悩みがあります。文部科学技術・学術政策研究所の科学技術指標2018によると、官民合わせた日本の研究開発費は、2000年から2016年までに1.1倍にしか増えていません。米国は1.9倍、ドイツは1.8倍、フランスは1.6倍に増えています。中国は17.5倍に膨らんでいます。
(2018年10月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)