今の日本は年金や医療を必要とする高齢者が増え続けており、支える側の現役世代の負担がどんどん重くなってきています。例えば会社員が入る厚生年金の保険料率は、11年前の2004年4月は給与の13.58%でした。これを労使で半分ずつ納め、その後は毎年上がり、今は17.4%、17年度に18.3%で固定するまで、これからも負担は毎年増えていきます。健康保険料や40歳になったら納める介護保険料も、所属する会社などによって料率は異なりますが、年々負担が重くなっている傾向は同じです。
1965年には現役世代9.1人で65歳以上の高齢者1人を支えていました。9人で1人を胴上げするような格好で、現役1人あたりの負担はそれほど重くありませんでした。それが12年に現役2.4人で1人を支える騎馬戦型になりました。国の推計では、少子高齢化が一段と進む50年には、1.2人で1人を支える肩車型の社会になります。少子・高齢化による人口構造の変化による社会保険費の増額は、1000兆円を上回る国の借金に表れています。政府は消費税を10%にするとしていますが、現役世代の負担増の傾向は止まりそうにもありません。高齢者にもっと社会保険費を負担してもらえなければ、国の存続が危ぶまれます。
(2015年4月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)