国民が安心して暮らすために欠かせない公的年金や医療、介護などの社会保障には2017年度予算では、年間120.4兆円ものお金がかかっています。120.4兆円の約5割を占めるのが、主に高齢者が受け取っている公的年金で56.7兆円に上ります。医療は38.9兆円で約3割、残りは介護や子育て関係など24.8兆円です。これらの費用は、保険料と税金・借金で賄われます。社会保障の費用は、高齢化を背景に年金、医療、介護とも急増し、1970年度の3.5兆円と比べ約34倍にも達しています。団塊の世代が全員75歳になる2025年には、社会保障費は150兆円に達すると見込まれています。
日本では、国民皆保険・皆年金といって、学生や無職の人も含め、国民は基本的に公的年金・医療保険に入って保険料を納めなければなりません。加入者だけでなく企業も保険料を負担し、社会保障費の6割を捻出しています。4割は税金および借金で、国と地方自治体を通じて社会保障に充てられています。国の負担分は32兆円です。国と自治体の借金は、こうした社会保障費の増大によりすでに計1000兆円を超えています。
(2018年4月23日 読売新聞)
(吉村 やすのり)