わが国の社外取締役の報酬水準が上がっています。東証プライム上場企業は2022年の中央値が840万円と、2021年比で5%上昇しています。コーポレートガバナンス・コードが最初に改訂された2018年比で17%増えています。採用ニーズが高まるなか、条件に合う候補者が限られ、複数社の兼任も多いだけに今後も上昇傾向は続きそうです。
2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂では、プライム市場の上場会社は、少なくとも3分の1、その他市場でも2人以上の独立社外取締役を選任すべきだとされています。上場企業の社外取締役の人数は、前年から1社平均0.3人増の2.9人と、全体で1,000人以上増えた計算になります。
中でも企業経営やIT、財務・株式市場に対する知識、加えて性別、国籍などの多様性のある人材にニーズが偏り、成り手が不足しています。複数社を兼任する例も多くなっています。4社以上を兼務するとの回答が全体の22%を占めています。社外取締役が十分に役割を果たすためには、1社あたり年200時間は必要とされており、兼務の多い社外取締役の選任に反対する方針を示す機関投資家も多くなっています。
(2022年10月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)