企業の経営方針は取締役で構成する取締役会で決めます。社外取締役は社外の立場にいながら、取締役を務める人材を指します。社内のしがらみや利害関係に縛られず、第三者の視点で経営をチェックします。コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)では、経営から独立した立場の社外取締役を2人以上選ぶよう求めています。これをきっかけに社外取締役の導入が広がり、東証の上場企業では大半が複数の社外取締役を選任しています。他社で経験を積んだ経営者や学識者、弁護士などが就任する場合が多くなっています。
海外でも英米や韓国、中国などで社外取締役の設置が義務付けられています。日本では上場企業の不祥事が相次ぎ、経営を監視する社外取締役の義務付けが大きな焦点になっています。ただ、社外取締役のなり手が不足しており、1人の人材が複数の企業を兼任するケースも少なくありません。法制審議会の会社法部会がまとめた会社法改正の要綱案によれば、上場会社や非上場の大会社を対象に、社外取締役の設置を義務付けています。私は、ドン・キホーテホールディングスとあすか製薬の社外取締役を務めています。企業統治の多様性や透明性を確保するためにも、社外取締役の設置は大切です。社内の利害関係に縛られず、第三者の視点から経営をチェックできます。
(2018年12月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)