わが国では、創業者とその一族あるいは従業員出身者が、社長である会社が多くみられます。いずれの場合も取締役会による実効的な経営者の選任監督は、期待しにくい状況にあります。メンバ-の多くが、社長が指名した者で構成され、反対意見の表明が困難な場合が多いと思われます。本来ならば、経営者は株主から経営を委託されている立場にあり、一定の業績目標を達成できなければ辞職することも想定されています。しかし、そのように経営責任を厳しく問う株主が不在で、経営者が株主の期待に十分に応えていない会社が散見されます。
最近東証上場会社においては、社外取締役を置く会社が増えてきています。社外取締役は、同じ企業内の慣習などに縛られない、新たな発想や理念を取り入れるための、ある種の起爆剤としての役割を果たすことになります。また、執行と監督の機能を分離し、独立性と透明性の高い監視機能が持てることになります。
(2015年4月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)