私大の経営難

 少子化が加速する一方で私大は増えており、私立大の経営状況は既に厳しい状況にあります。日本私立学校振興・共済事業団の調査によれば、4年以内に資金ショートする恐れがあり自力での再生が極めて困難なレッドゾーンの16法人が3%、10年以上先に資金ショートする可能性があるなど経営が困難なイエローゾーンの85法人が15%もみられます。

 私立大などの教育や研究条件の維持向上、学生の経済的負担軽減のため、国が学生数や教員数などに応じて交付する私学助成金は、2024年度予算で2,978億円が計上されています。交付額は1校当たり年数百万~90億円程度となっており、学校法人の収入の1割を占めています。日本私立大学連盟は、教育の質を向上させるために私学助成金の拡充を求めてきています。  文部科学省は経営難の私立大に規模の縮小を促すとしています。収支が悪化した大学には私学助成金の交付条件として経営改善計画を提出させ、上向かなければ助成の減額も検討するとしています。背景には急速に進む少子化と、それと逆行する私立大の動きがあります。文部科学省の試算で、2021年に62万人いた大学入学者は2050年に42万人に減少します。対照的に私立大は近年も増え、2023年度に622校に達しています。2024年度は4年制私大の59%が定員割れしています。原則として大学の規模に応じて機械的に配分してきた私学助成金の転換点になります。

(2024年12月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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