東京都内では未就学児の人口が増えています。2017年1月時点で64万人と、2011年に比べ5%増加しています。保育所に通う子どもも年々増加し、未就学児に占める割合は43%と10ポイント上昇しています。認可保育所と都独自の認証保育所の総数は、2017年4月に33%増の3,189カ所に達しました。一方で減っているのが幼稚園です。私立だけでみると4%減の822園になっています。
東京都内の自治体が待機児童対策の一環で、私立幼稚園での長時間保育を支援し始めています。しかし、幼稚園の総数が減る中で、幼稚園が通年保育を実施しているのはほんの一握りにすぎません。保育所の整備だけでは待機児童を解消できず、既存の幼稚園の協力を得ることも急務になっています。待機児童は現在大きな問題になっており、行政も保育所を増やす努力をしていますが、いずれ近い時期には充足されます。新しい保育所を建設することより、幼稚園を利用することが大切です。行政は、保育所並みに子どもを長時間預かる私立幼稚園に補助金を上乗せし、長時間や長期休暇中に対応できる職員の確保を促しています。
(2017年10月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)