国の税収が2020年度に過去最高を更新しています。当初の予想に反し、コロナ禍の税収への影響は限定的であり、消費税、所得税、法人税の基幹3税がそろって前年度実績を上回りました。巨額のコロナ予算の使い残しもあり、2020年度決算で余った剰余金も、過去最高の4兆円台に達しています。
最も上ぶれしたのが法人税です。8兆円余りと見込んでいましたが、実際には約1.4倍の11.2兆円でした。通信やゲーム、電機などが好調で、税収増につながった可能性があります。巣ごもり需要や海外輸出で、好調だった業種の伸びが大きかったとみられます。消費税も約1兆7千億円上ぶれし、20.9兆円と過去最大でした。税率が10%になった増税分が通年で寄与しています。景気動向に左右されにくい安定財源と言われる消費税の存在感が際立っています。
剰余金の一部は、補正予算の財源として使われることがあります。今年は秋までに衆院選があるため、与党の一部は既に補正予算などで追加の経済対策を求める声も出始めています。しかし、税収は過去最高でも、2020年度の歳出は多くが国債発行に支えられており、借金頼みの財政状況に変わりはありません。
(2021年7月6日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)