第三者を介する生殖補助医療における親子関係

 第三者が関わる生殖補助医療で、複雑化する恐れのあった親子関係を規定する法案の概要が固まりました。自民党の法務部会・厚生労働部会などの合同会議が、民法の特例法案の骨子を了承しました。骨子では、第三者の卵子を用いた場合、出産した女性をその子の母親とすると規定しています。卵子の提供を受けて、子を望む女性が自分で出産するケ-スでは、この女性の希望に沿うことになります。子を望む夫婦が受精卵を提供して、妻以外の女性に産んでもらう代理出産では、妻はすぐには母親にはなれず、養子縁組などの手続きが必要となります。また、夫以外の男性から精子の提供を受けた場合、その提供に同意した夫は生まれた子を承認しなければならないとしています。
 生殖補助医療の法整備を検討している自民党プロジェクトチ-ム座長の古川俊治参院議員は、民法特例法案を今国会に提出したいとしています。生殖補助医療の法制化は、国内で特に代理出産を認めるかをめぐって意見が分かれています。こうした第三者を介する生殖補助医療に関しては、賛否両論がありますが、現実に海外で卵子や精子の提供ならびに代理懐胎で生まれていた子の福祉のためにも、親子関係の法律上の手当は必要条件です。

(2015年6月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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