新卒入社から数年以内で離職する第二新卒の求人が急増しています。主要転職サイトの求人件数は2年で約2倍になっています。業務の専門性はないものの、基本的な社会人スキルは身についているとして、企業側の採用意欲は増加しています。新卒と同様に潜在能力や自社への順応性に期待する企業も多くなっています。
通常の経験者採用では評価されにくい若手も、第二新卒として別枠で採用される機会を歓迎しています。就職情報大手の学情の20代を対象とした2024年の調査では、第二新卒など対象を明確にした求人に約9割が魅力を感じると答えています。企業は将来の第二新卒での入社につなげようと、新卒採用で内定を辞退した人に、定期的に情報発信するなど囲い込みを進めています。
少子化などを背景にした人手不足で、企業は新卒採用で人材確保しづらくなっています。これまで第二新卒の採用は、知名度のある大企業に比べて、新卒採用が難しい中小企業を中心に広まってきましたが、ここに来て大企業も触手を伸ばしています。
若手社会人の転職意向が強まっていることも第二新卒の増加要因となっています。厚生労働省によれば、2021年大卒入社の3年以内の離職率は34.9%と、前年に比べ2.6ポイント上昇しています。潜在能力はあるのに採用のミスマッチなどで離職した人材は、企業にとって有望に映ります。
(2025年1月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)