トランプ政権による科学を軽視する政策の影響で研究者が苦境に陥っています。年間470億ドル(約7兆円)の研究費を振り分けるNIHは数十億ドルを削減しています。トランプ米政権による科学分野の予算削減を受けて、苦境の研究者を採用する動きが国内で出始めています。大阪大学は、米国にいる研究者を100人規模で受け入れる体制を整えたと発表しています。東北大学は米国で採用活動を始めました。優秀な人材を獲得し、研究力の向上につなげます。
欧州や中国は、積極的にトップ級研究者の招致を進めています。日本は研究環境や給与水準の低さに課題があり、若手が中心になります。トップ層を招致する仕組み作りが必要になります。世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出してきた米国には、トップ級の研究者が数多くいます。各国が招致に熱心なのは、国の研究力向上につながるためです。
まず動き始めたのは、2024年に国際卓越研究大学に選ばれた東北大学と、大阪大学医学系研究科です。東北大学は約150億円の助成を得て、人材戦略を含む大学改革を進めています。大阪大学大学院医学系研究科は米国の研究者を受け入れる財源として寄付金などで6億円以上を確保しています。

(2025年5月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)