精神保健指定医

 精神保健指定医とは、精神保健および精神障害者福祉に関する法律第18条に定める医師の国家資格であり、重い精神障害の患者を本人の同意なしに、家族らの同意で医療保護入院させたり、知事らの命令で措置入院させたりするかを判断できます。医師として5年以上、精神障害の診療も3年以上の経験が必要です。申請時に重い統合失調症など6分野の8例以上の症例報告を出さなければなりませんが、対象は週4日以上診療にあたるなどした患者でなければなりません。
 この精神保健指定医の資格取得の際に不正があり、取り消しになりました。複数の医師が処分された大学病院や精神医療の中核病院もありました。措置入院の判断など、指定医だけに認められる医療行為が多く、早く資格を取りたいという医師の事情があります。病院にとっても、普通の医師より診療報酬が優遇される場合があり、経営上の利点があるためです。患者の身体を拘束したり、部屋に閉じ込めたりするなど、人の自由を奪うこともできる資格だけに、指定医には確かな人権意識と倫理観が必要です。資格取得に際しては、不正は許されません。

(2016年11月22日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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