精神保健指定とは、精神保健福祉法に基づき、厚生労働省が指定する医療のことです。現在、全国に1万4630人おり、精神科医の大半が指定を受けています。精神科医として3年以上の実務経験があるなど高い専門性を有することが要件で、診療報酬の優遇措置を受けています。例えば、通院患者の初診では、一般の精神科医より1.5倍高い報酬が設定されています。指定医がいる病院への報酬加算処置もあり、経営上のメリットも大きいものがあります。
聖マリアンナ医科大学病院(川崎市)の医師らが、厚生労働省が定める「精神保健指定医」の資格を不正取得した疑いが出ていた問題で、厚生省は15日、精神科医20人について指定医資格取り消しを決めました。このうち11人は、実際に治療に関与していない患者を診察したと偽って申請していました。11人は2010~14年に指定を申請した30~40代の医師です。大学によると、11人は、別の医師が過去に提出したレポ-トをUSBメモリ-などで受け取り、内容を一部変え、自分が担当したかのように装うなどしていたとされています。残る9人はいずれも、不正を行った医師らを指導した上司で、厚労省は監督責任があると判断しました。厳しい取り消しの判断ですが、大学側は真摯に受け止めるべきです。
(吉村 やすのり)