糖尿病は血液中のブドウ糖濃度が高くなり、全身に影響を及ぼす病気です。治療を受けないと、血管内の壁が傷つき、神経障害や網膜症、腎症などの合併症が起きます。悪化すると脚や指の切断、失明、腎不全による人工透析の導入に至ることもあります。糖尿病を強く疑われる人は2016年で1,000万人に上ります。しかし、糖尿病は初期に自覚症状がほとんどありません。
治療は食生活の改善や運動が基本で、合併症が出る前に始めれば、多くは改善が期待できます。合併症が表れたら、薬などで進行を遅らせることが大切になります。食生活や運動などの指導では、医師以外のスタッフを含めたチーム医療が必要になります。中心となるのが糖尿病療養指導士です。専門知識と経験を兼ね備えた看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士らが認定されています。特に増加する高齢者への対応では、薬による低血糖に注意が大切です。命に関わる高齢者の低血糖は、薬を飲むタイミングや量の間違いが主な原因です。薬剤師による服薬指導だけではなく、生活面への目配りも欠かせません。教育入院は、患者に病気の正しい知識を身に付けてもらい、治療に自発的に取り組んでもらうのが目的です。
(2017年12月3日 読売新聞)
(吉村 やすのり)