日本糖尿病学会は、2019年9月に、糖尿病診療ガイドライン2019を発表しています。食事療法について、これまで求めていた一律の基準を緩め、患者に合わせた柔軟な対応を勧めるようしています。具体的には、唯一の正しい体重をイメージさせる標準体重という言葉を目標体重に変えています。従来は年齢に関係なく、BMIを22としていたのを、65歳以上について22~25と基準を緩くしています。さらに、75歳以上は適宜判断するとしています。
これまで目標値が定められていた、炭水化物やたんぱく質などの栄養素摂取比率については、決めることに明確なエビデンスがないと明記しています。一定の目安としては炭水化物をカロリーの50~60%、たんぱく質を20%以下と示しています。食事療法を長く継続するためには、個々の食習慣を尊重しながら、柔軟な食事をと呼びかけています。食習慣などが多様化し、ガイドラインでの一律の基準は実効性に乏しくなってきたことに基因しています。
(2020年3月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)